本記事では、これから山口県で脳神経外科クリニックを開業する医師に向け、県内の競合状況や開業時に押さえておきたいポイント、開業資金・年収・診療報酬の目安について解説しています。
脳神経外科は、頭痛やめまい、しびれ、認知症などの外来診療から、脳卒中の早期発見まで幅広い役割を担う診療科です。一方、MRI・CTなどの画像診断装置を導入するかによって、必要な開業資金や物件、診療体制が大きく変わるため、開業前の事業計画が重要になります。
病院口コミ検索Calooで「脳神経外科」を標榜する病院・クリニックを検索すると、2026年9月時点の山口県内の施設数は以下の通りです。
主要5市では下関市・宇部市の施設数が比較的多く、岩国市では少なくなっています。ただし、この数字には脳神経外科を標榜する病院と診療所の両方が含まれているため、クリニック同士の競合性をそのまま示すものではありません。
脳神経外科は、脳卒中や脳腫瘍などの手術・入院治療を担う病院と、頭痛・めまい・しびれ・物忘れなどを外来で診療するクリニックとで役割が大きく異なります。
開業地を選ぶ際は施設数だけでなく、MRI・CTを備えた脳神経外科クリニックが周辺に何院あるか、頭痛外来や認知症診療など既存院がどの領域を得意としているかまで確認しましょう。
参照元:Caloo|山口県の脳神経外科の病院・クリニック(https://caloo.jp/hospitals/search/35/k26)
参照元:Caloo|下関市の脳神経外科の病院・クリニック(https://caloo.jp/hospitals/search/35201/k26)
参照元:Caloo|山口市の脳神経外科の病院・クリニック(https://caloo.jp/hospitals/search/35203/k26)
参照元:Caloo|宇部市の脳神経外科の病院・クリニック(https://caloo.jp/hospitals/search/35202/k26)
参照元:Caloo|周南市の脳神経外科の病院・クリニック(https://caloo.jp/hospitals/search/35215/k26)
参照元:Caloo|岩国市の病院・クリニック(https://caloo.jp/hospitals/search/35208/all)
脳神経外科の開業計画で特に重要なのが、MRIやCTといった画像診断装置を自院に導入するかどうかです。
MRI・CTを導入すれば、頭痛やめまい、しびれなどで来院した患者に対し、院内で画像検査まで行える診療体制を構築できます。検査のために別の医療機関へ紹介する必要がなく、診察から画像診断までを一つのクリニックで完結しやすい点がメリットです。
一方で、高額な機器代だけでなく、設置スペースやシールド工事、電源設備、保守費用なども必要になります。MRI・CTを導入しない場合は、近隣病院や画像診断施設との連携体制を整え、必要な患者を速やかに検査へつなげる診療モデルを検討しましょう。
山口県では、2020年4月以降、CT・MRIなどの対象医療機器を新たに設置・更新する医療機関に対し、「医療機器の共同利用計画」の提出を求めています。
共同利用を行う場合だけでなく、共同利用を行わない場合も、その理由を記載して所管の健康福祉センター(保健所)などへ提出する必要があります。
脳神経外科ではMRI・CTが診療の中心設備となるケースも多いため、機器選定や物件契約の段階から、導入後に必要となる行政手続きも確認しておきましょう。
参照元:山口県公式HP|外来医療提供体制の確保について(https://www.pref.yamaguchi.lg.jp/soshiki/45/247815.html)
クリニックを受診する患者の中には、脳梗塞・脳出血・くも膜下出血など、緊急の入院治療や手術が必要な疾患が隠れている可能性があります。
突然の激しい頭痛や片麻痺、ろれつが回らないといった症状がある患者を診察した場合、クリニック内の外来治療だけでは対応できません。
そのため、開業前から脳卒中急性期治療や脳神経外科手術に対応できる基幹病院への搬送・紹介ルートを確認しておくことが重要です。
一方、病院で急性期治療を終えた患者の血圧・脂質管理や再発予防、画像による経過観察などをクリニック側が担うことで、病院との病診連携にもつなげられます。
無床の脳神経外科クリニックでは、開頭手術などではなく、頭痛、めまい、しびれ、物忘れ、軽度の頭部外傷などの外来診療が中心になります。
そのため、「脳神経外科」という診療科名だけでなく、どのような症状・疾患を強みとするクリニックなのかを患者に分かりやすく伝えることも重要です。
例えば、頭痛専門外来、もの忘れ外来、脳卒中予防、生活習慣病管理など、医師の専門性と地域ニーズを組み合わせた診療体制を検討しましょう。
脳神経外科は、MRI・CTなどの画像診断装置を導入するかによって必要な開業資金が大きく変わります。
2026年に公開された脳神経外科の開業に関する情報では、開業資金の目安として約7,000万円~2億5,000万円が示されています。
| MRI・CTを導入しない場合 | 比較的初期投資を抑えやすい |
|---|---|
| MRI・CTを導入する場合 | 1億円を大きく超えるケースもある |
| 開業資金の目安 | 約7,000万円~2億5,000万円 |
MRI・CTを備える場合は、医療機器そのものの購入費に加え、広い物件や特殊な内装・シールド工事なども必要になるため、初期投資が高額になります。
一方で、高額機器を導入しない「外部連携型」であれば、検査を近隣病院や画像診断施設へ依頼することで、設備投資を抑える方法もあります。
「脳神経外科だからMRIを導入する」と最初から決めるのではなく、想定患者数と検査件数から機器の稼働率を試算することが重要です。借入額が大きくなれば、患者数が計画を下回った際の経営リスクも高まります。
参照元:FPサービス株式会社|脳神経外科の開業資金・自己資金・年収・失敗事例(https://www.doctorsupportnet.jp/column/neurosurgery_cost/)
山口県の脳神経外科医師のみを対象とした公的な平均年収データは確認できませんでした。
参考として、医師向け転職情報をもとに集計されたデータでは、脳神経外科医の平均年収は以下のようになっています。
| 脳神経外科医の 全国平均年収 |
約1,645万円 |
|---|---|
| 中国・四国地方の 脳神経外科医平均年収 |
約1,581万円 |
山口県は中国・四国地方に含まれるため、勤務医としての年収を検討する際には約1,581万円を一つの参考水準として考えられます。
ただし、これは山口県のみを集計した数字ではなく、勤務先や役職、当直・オンコール、手術件数などによって実際の年収は大きく変わります。
また、開業後の所得は勤務医の給与とは異なり、患者数やMRI・CTの稼働率、人件費、医療機器の返済・リース費用などによって左右されます。高額な画像診断装置を導入するほど売上が増えるとは限らないため、設備投資と想定収益をセットで検討しましょう。
参照元:ドクタービジョン+|脳神経外科医の平均年収は?勤務医と開業医での違いや年収アップする方法を解説(https://www.doctor-vision.com/dv-plus/column/money/neurosurgery-25.php)
中国四国厚生局が公表している「令和8年度 山口県内の保険医療機関等の診療科別平均点数一覧表」では、脳神経外科単独の区分は設けられていません。
同資料の類型区分では、脳神経外科は呼吸器外科・心臓血管外科などとともに「外科」に含まれています。
| 外科 (脳神経外科を含む) |
1,130点 |
|---|
山口県の診療所における外科のレセプト1件あたり平均点数は、令和8年度で1,130点です。
ただし、この数値は脳神経外科だけの平均ではなく、呼吸器外科、心臓血管外科、小児外科、形成外科なども含む「外科」全体の数字です。そのため、脳神経外科クリニックの診療報酬を検討する際の参考値として捉えてください。
脳神経外科では、MRI・CTなどの画像検査を自院で実施するかによって患者1人あたりの診療報酬が大きく変わる可能性があります。一方で、画像検査による収益が増えても、高額な医療機器の購入費・リース料・保守費用も発生するため、診療単価だけで収益性を判断することはできません。
参照元:厚生労働省 中国四国厚生局|令和8年度 各県の保険医療機関等の診療科別平均点数一覧表[※PDF](https://kouseikyoku.mhlw.go.jp/chugokushikoku/000480475.pdf)
参照元:厚生労働省 中国四国厚生局|集団的個別指導及び個別指導の選定の概要について[※PDF](https://kouseikyoku.mhlw.go.jp/chugokushikoku/000480476.pdf)
脳神経外科の開業では、開業エリアの選定と同時に、MRI・CTを自院に導入する「設備型」にするのか、基幹病院等との連携を活用する「外部連携型」にするのかを早い段階で決めることが重要です。
高額な画像診断装置を導入すれば診断機能を充実させられる一方、患者数や検査件数が十分でなければ投資回収が難しくなります。診療圏調査では単純な人口や競合数だけでなく、頭痛・認知症・脳卒中後のフォローなど、自院が想定する患者層をどの程度確保できるかまで検討しましょう。
また、脳卒中などの緊急疾患を見逃さず、必要な患者を速やかに治療へつなげるためには、地域の基幹病院との連携も欠かせません。診断設備・患者需要・病診連携を一体で考えた開業計画を立てることが、安定したクリニック経営につながります。
当メディアでは、診療科目ごとに山口県でおすすめのクリニック開業支援会社を紹介しています。企業選びの参考情報としてご活用ください。
