本記事では、医療機器導入におけるリースと購入のコスト比較や、情報の少ない山口県内のリース会社事情を解説します。
山口県でクリニック開業の初期費用を抑えながら、自院の経営戦略に合った導入方法を検討したい方は参考にしてみてください。
リース会社が医師に代わって希望する機器を購入し、一定期間有料で貸し出す賃貸借契約を指します。契約期間は機器の法定耐用年数に基づいて設定されるケースが多く、5年から7年※1が一般的です。
契約期間が満了した後は、割安な料金で引き続き使用する再リース、機器をリース会社へ返却する方法、または残存価格で買い取る方法など、いくつかの選択肢があります。
形式上は「機器を借りる」契約ですが、実態としてはリース会社が購入代金を立て替え、その費用を利息や手数料を含めて分割で支払っていく仕組みです。
そのため、銀行融資と同様に、契約時には経営状況や信用情報に基づく審査が行われる点も理解しておく必要があります。
山口県内で開業準備を進める際、ハードルとなるのが地場のリース会社情報の少なさです。編集チームの独自調査※によると、山口県内に拠点を置く医療機器リース会社は「総合メディカル」と「キロク」の2社のみ。
キロクはベッドや歩行器、車椅子などの福祉用具がメインとなっています。総合メディカルは「医療機器などのリース・販売」という記載のみで詳細を公開していませんでした。
全国対応している大手リース会社と契約するのも一つの手です。医療機器の保守・修理自体はメーカー対応となるケースが多いものの、県内に拠点やネットワークを持たない会社の場合、不具合発生時のメーカー手配や調整に時間を要するといった懸念が残ります。
選択肢の限られたエリアだからこそ、地元の医療事情に精通し、メーカーやリース会社と太いパイプを持つ開業コンサルタントの存在が重要となるでしょう。
当メディアでは、診療科目ごとに山口県でおすすめのクリニック開業支援会社を紹介しているので、参考にしてみてください。
リースと混同されがちなサービスにレンタルがあります。契約の性質や目的など、主な違いを3つの観点から見ていきましょう。
レンタルは1日から数週間といった短期利用を想定したサービスです。対してリースは、半年から数年単位の長期利用が前提となります。
リース契約には、利用者の支払い能力を確認するための事前審査が必須となる点も、レンタルとは異なる特徴です。
レンタル契約は原則として自由に解約が可能で、違約金が発生しないケースが大半です。一方、リース契約では原則として途中解約が認められません。
閉院などのやむを得ない事情で解約を希望する場合は、残りのリース料全額、もしくは違約金を含めた残債の一括払いが求められます。
レンタル料金には、機器の保管料やメンテナンス費用、在庫リスクに対するコストが含まれるため、月額料金は割高に設定されています。
リース料金は、物件購入価格に金利、手数料、固定資産税、動産総合保険料などを加えた総額を契約月数で按分するため、長期利用を前提とすればレンタルよりも月々の支払額は割安です。
整形外科で用いる医療機器(新品)の購入費用目安を基に、5年間リース契約(料率1.8%)した場合との差額をシミュレーションしました※2。
| 機器名 | 購入価格 | リース月額(1.8%) | 5年総額(60回) | 差額(手数料分) |
|---|---|---|---|---|
| CTスキャナ | 2,000万円 | 36.0万円 | 2,160万円 | +160万円 |
| リハビリ機器(一式)※1 | 1,300万円 | 23.4万円 | 1,404万円 | +104万円 |
| X線撮影装置 ※2 | 550万円 | 9.9万円 | 594万円 | +44万円 |
| 一般撮影装置 | 450万円 | 8.1万円 | 486万円 | +36万円 |
| 超音波画像診断装置 | 300万円 | 5.4万円 | 324万円 | +24万円 |
| CR装置 | 200万円 | 3.6万円 | 216万円 | +16万円 |
| 超音波骨密度測定装置 | 100万円 | 1.8万円 | 108万円 | +8万円 |
| 合計 | 4,900万円 | 88.2万円 | 5,292万円 | +392万円 |
※1:リハビリ機器は参照元にある1,100万~1,500万円の中間値(1,300万円)を抜粋
※2:X線撮影装置は参照元にある500万~600万円の中間値(550万円)を抜粋
シミュレーションの結果、リース契約では購入時と比較して約400万円の差額が発生しています。この差額を単なる損失と捉えるか、初期投資を抑えるための必要経費と捉えるかが経営判断の分かれ目です。
「最新のCTを導入して差別化する」「リハビリ機能を充実させて通院頻度を上げる」といった戦略に合わせて、リースと購入の比率を調整していく必要があります。
医療機器の導入方法は、クリニックの資金状況や使用目的によって使い分けることが大切です。それぞれの特徴を表にまとめました。
| 導入方法 | メリット | デメリット |
|---|---|---|
| リース | 初期費用を抑えられる レンタルより割安になりやすい リース料を経費として処理できる |
使用期間が長いほど総額が高くなる 原則として中途解約ができない |
| レンタル | 初期費用(自己資金)を抑えられる 必要な期間だけ借りられる 解約の手間や負担が少ない |
月々の支払額が割高になりやすい 長期利用には向かない |
| 新品購入 | 使用期間が長いほど総額が安くなる 期間の制約なく使用できる 自院の資産になる |
初期費用(自己資金)が高額 固定資産税の納付や減価償却の手間がかかる |
| 中古購入 | 新品よりも初期費用を抑えられる 期間の制約なく使用できる 自院の資産になる |
原則メーカー保証を受けられない 故障リスクが新品より高い |
リースは、初期費用を抑えてキャッシュフローを安定させたい場合に適した選択肢です。
レンタルは、開業前の内覧会展示用や、機器故障時の代替機といったスポット利用で真価を発揮します。
自己資金が潤沢で総支払額を最小限にしたい場合は新品購入、サブ機や構造が単純なリハビリ機器などは中古購入といったように、機器の重要度や予算に応じて適切な方法を組み合わせていきましょう。
