本記事では、これから山口県で透析内科クリニックを開業する医師に向け、県内の競合状況、開業資金や年収の目安などを解説しています。
透析装置の配置や給排水設備、患者送迎を踏まえた立地選びなど、透析内科特有の開業・経営ポイントも掲載していますので、参考情報としてお役立てください。
山口県内で透析専門医が在籍する病院・クリニック数※1は以下の通りです(2026年8月時点)。
主要5市の中では、下関市が9施設と最も多く、山口市・宇部市がそれぞれ5施設で続きます。透析は一度導入すると週3回程度の通院が長期にわたるケースが多いため、既存施設が一定の患者基盤を築いている地域では、新規開業後に患者を確保する難易度が高くなります。
一方、施設数だけで競合性を判断することもできません。日本透析医学会の2024年末調査では、山口県では57施設が調査対象となり、55施設から回答が得られています。また、施設所在地ベースの慢性透析患者数は3,590人※2でした。
透析内科では「近くに施設が少ないか」だけでなく、既存施設の透析ベッド数や稼働率、夜間透析への対応、送迎範囲などまで把握することが重要です。患者数と供給可能な透析枠をセットで分析し、実際に新規患者を受け入れる余地がある地域かを見極めましょう。
透析内科では多数の透析装置を設置するだけでなく、透析液を作るための水処理設備や給排水設備など、一般的な内科クリニックにはない大型設備が必要になります。
物件を決めた後に必要な設備容量を確保できないことが判明すると、大幅な設計変更や追加工事が必要になる可能性があります。そのため、物件選定の段階から給水能力・排水経路・電源容量などを確認し、医療機器メーカーや設計会社と連携して検討することが重要です。
また、透析治療は定期的な継続が必要であるため、停電や断水などの災害時に備えたBCPも欠かせません。非常用電源や近隣透析施設との連携など、「治療を止めない」ことを前提とした設備・運営体制を開業時から考えておきましょう。
透析内科は、診察室中心の一般内科よりも広いスペースが必要です。人工透析を行う腎臓内科クリニックでは、一般内科のみの場合より40坪以上広く、70坪程度が一つの目安※3とされています。
単にベッドを並べるだけでなく、スタッフが患者の状態を確認しやすい配置や、車椅子でも移動しやすい通路幅、更衣スペースなどを考慮する必要があります。将来的な患者増加を想定して透析ベッドを増床できる余地も検討しておきましょう。
さらに、透析患者には高齢者や通院が困難な人もいます。送迎サービスを導入する場合は、送迎車が出入りしやすい敷地や乗降スペースを確保するなど、院内だけでなく来院・帰宅までを含めた患者動線を設計することが重要です。
山口県に限定された透析内科の開業資金データは見つかりませんでした。人工透析を行う腎臓内科クリニックでは、設備資金だけで1億円以上※4が必要になるとされています。
| 設備資金 | 1億円以上 |
|---|---|
| 運転資金を含む 開業資金目安 |
1億5,000万円以上 (2億円近くになるケースもあり) |
高額になる主な理由は、透析監視装置だけでなく、水処理装置や透析液供給システム、給排水設備などが必要になるためです。透析ベッド数が増えれば機器・設備費だけでなく必要床面積や内装工事費も増加します。
また、送迎サービスを実施する場合は車両購入費や運転手の人件費も必要です。多額の借入を前提とした開業では、想定患者数を過大に見積もると返済負担が経営を圧迫します。患者数・透析ベッド数・稼働率から収益を逆算した事業計画を作成し、設備投資が過剰にならないよう慎重に判断しましょう。
山口県勤務医の年収中央値は約1,800万円※5で、全国医師の平均年収(約1,452万円※6)の約1.24倍にあたります。この倍率を透析科医の全国年収中央値1,600万円※7に当てはめて試算しました。
| 山口県における 透析科医の年収目安 |
約1,984万円(全国中央値1,600万円 × 1.24) |
|---|
上記はあくまでも勤務医のデータを基にした試算です。独立開業後は透析患者数やベッド数、1日あたりの透析クール数、人員配置、借入金の返済額などによって収益が大きく変わります。
透析は一般外来とは異なり、患者が週に複数回継続して通院するため、患者数を確保できれば一定の診療量を見込みやすい点が特徴です。一方で、設備費・人件費・水道光熱費など固定費も大きいため、高い売上だけでなく稼働率と固定費のバランスを重視して経営する必要があります。
山口県内の診療所における「内科(人工透析有)」の平均診療報酬は、2018年度のデータでレセプト1件あたり4,165点※8です。
同じ資料では、「内科(人工透析有以外・その他)」が1,252点、「内科(人工透析有以外・在宅)」が1,482点となっており、人工透析を行う内科は大幅に高い水準です。
透析医療は患者1人あたりの診療報酬が比較的高く、定期的な治療によって継続した収益を見込みやすい一方、透析装置や水処理設備への投資、看護師・臨床工学技士などの人件費、電気・水道など診療を維持するためのコストも大きい点に注意が必要です。
そのため「診療報酬が高いから収益性も高い」と単純に考えるのではなく、必要な患者数を算出したうえで、透析ベッドの稼働率やクール数、人員配置を設計する必要があります。さらに、透析患者は心血管疾患や糖尿病など複数の合併症を持つケースも多いため、近隣の基幹病院や専門診療科との連携体制も開業前に整えておきましょう。
開業エリアや物件情報に詳しいのは大前提として、透析特有の給排水・電源設備、ベッド配置、患者送迎、医療機器選定を踏まえた事業計画を熟知しているプロに相談することが大切です。
当メディアでは、診療科目ごとに山口県でおすすめのクリニック開業支援企業を紹介しています。企業選びの参考情報としてご活用ください。
