山口県内でクリニック開業を検討中の医師へ向け、実際のデータを基にした費用シミュレーションや、診療科目ごとの資金相場を解説します。
地域事情に即した適正な予算感を把握し、無理のない資金計画を立てる際にお役立てください。
「m3.com」に掲載されていた山口県内の医療モール募集物件は下関市にある2件のみで、いずれも賃料は8,400円/坪でした※1。
このデータと、同市の坪単価平均データ※2を用いて、「建物面積60坪のクリニック(泌尿器科)」の開業費用シミュレーションを作成しています。
戸建て開業は「広めの駐車場(約100坪)」を合わせた160坪の土地取得を条件としました。
| 医療モール(賃貸) | 戸建て(土地購入・新築) | |
|---|---|---|
| 算出基準 | 賃料坪単価:8,400円※1 | 土地坪単価:114,071円※2 |
| 初期投資(目安) | 約4,204万円 | 約1億25万円 |
| 月々の支払い | 賃料:50.4万円 | ローン返済:約37.7万円~48.3万円 |
| メリット | 初期費用を半分以下に抑えられる | 土地・建物が資産として残る |
| デメリット | 賃料は「掛け捨て」になる | 借入総額が大きくなる |
上記シミュレーションにおける医療モール(賃貸)のコスト内訳を見ていきましょう。初期費用はあくまでも仮定の金額になります。
| 月額賃料 | 60坪 × 8,400円 = 50万4,000円 |
|---|---|
| 初期費用 | 保証金(賃料10か月分と仮定):504万円 内装工事費(坪60万円想定):3,600万円 仲介手数料・諸経費:約100万円 |
| 合計 | 約4,204万円 |
山口県は車移動が中心のため、患者用として広大な駐車場の確保が欠かせません。医療モールへ入居すると、駐車場を共用で利用でき、自前で駐車場を用意するコストと手間を省ける点が経営上の強みです。
上記シミュレーションにおける戸建て(土地購入・新築)のコスト内訳を見ていきましょう。建物建設費、外構・駐車場舗装費、諸経費(登記・手数料等)はあくまでも仮定の金額になります。
| 土地取得費(160坪) | 約1,825万円 |
|---|---|
| 建物建設費(60坪) | 約7,200万円(120万円/坪) |
| 外構・駐車場舗装費 | 約500万円 |
| 諸経費(登記・手数料等) | 約500万円 |
| 合計 | 約1億25万円 |
山口銀行や西京銀行、医師信用組合などで開業融資を受ける場合、金利1.0%~1.5%、返済期間20年~25年程度での借り入れが一般的です※3。
金利1.0%・25年返済なら月額約37万8,000円、金利1.5%・20年返済なら月額約48万4,000円と試算できます。
初期投資額は1億円を超えますが、月々のローン返済額は賃料を下回る可能性があるでしょう。
ただし、固定資産税や修繕積立金などの維持費が発生する点には注意が必要です。
大きな初期投資で戸建て開業するべきか、賃貸でスモールスタートするべきか。その正解は、これから開業するクリニックで標榜予定の診療科目によって変わります。
開業エリアや物件情報に詳しいのは大前提として、診療科目特有の動線設計・機材・集患戦略を熟知しているプロに相談することが大切です。
当メディアでは、診療科目ごとに山口県でおすすめのクリニック開業支援会社を紹介しています。会社選びの参考情報としてご活用ください。
診療科目ごとの一般的な開業資金(運転資金を除く設備投資・内装費等の目安)※4は以下の通りです。データは全国的な平均値を基にした一般的な目安とお考えください。
表にある「テナント開業」とは、前述の医療モール(賃貸)やビルクリニックでの開業ケースを指します。
| 診療科目 | テナント開業 | 戸建て開業 |
|---|---|---|
| 内科 | 5,000万円~ | 9,000万円~ |
| 小児科 | 4,000万円~ | 8,000万円~ |
| 整形外科 | 7,000万円~ | 1億3,000万円~ |
| 眼科 | 6,000万円~ | 1億円~ |
| 皮膚科 | 4,000万円~ | 8,000万円~ |
| 精神科 | 2,500万円~ | 6,000万円~ |
開業資金の金額に差が出る主な要因は、導入する医療機器の種類と必要な床面積です。
眼科や耳鼻咽喉科は、高額な検査機器や専用ユニットへの投資が必要。整形外科は、リハビリ室確保のための広い面積と内装費、X線装置導入に伴う費用がかかります。
一方で精神科は、問診が中心であり大型機器や広いスペースを必要としないため、低コストでの開業が可能です。
美容皮膚科等の自由診療を扱う場合は、内装の高級感やレーザー機器の種類により投資額が大きく変動します。
自己資金や銀行融資に加え、自治体の補助金制度の活用をご検討ください。山口県や各市町村では、申請時期によっては補助金・助成金を活用できる場合があります。
制度を有効活用することで、初期負担を抑えられるでしょう。
