日本医師会が運営する「地域医療情報システム(JMAP)」で公開されている防府市・山口県全体のデータに加え、下関市・山口市・宇部市・周南市・岩国市の状況も参考にしながら、防府市におけるクリニックの将来性や競合状況、診療科目別の施設数などを分析・解説しています(2026年8月26日時点で確認可能な情報に基づく)。
あわせて、防府市で開業支援会社と連携して開院したクリニックの事例も紹介しています。防府市で独立開業を検討している医師は、診療圏や開業形態を考える際の参考にしてください。
防府市の総人口は、2020年の11万3,979人から2050年には9万3,933人となり、約18%減少する見込みです。人口減少そのものは避けられないものの、県全体と比べると比較的緩やかに推移すると予測されています。
一方で、医療需要に大きく影響する高齢者人口を見ると、65歳以上は2020年の3万5,280人から2050年でも3万4,772人と、大きく減少しません。さらに75歳以上人口は1万8,339人から2万1,631人へ増加する見込みです。
JMAPが示す年齢別人口と医療需要の算定方法を基にすると、2050年の医療需要は2020年を100とした場合でも約94の水準を維持すると考えられます。県全体では同時期に約81まで低下する計算となるため、防府市は人口減少の割に医療ニーズが残りやすい地域といえるでしょう。
特に、生活習慣病や循環器疾患などの継続的な管理に加え、通院が難しくなる高齢者への訪問診療、介護施設との連携、看取りなど、高齢化を前提とした診療体制を構築できるかが長期的なクリニック経営のポイントになります。
防府市の人口10万人あたりの一般診療所数は55.27か所です。山口県全体の約71か所と比べて少なく、下関市・周南市・岩国市と比較しても低い水準となっています。
一方、人口10万人あたりの常勤医師数は251.80人で、山口県全体の約234人を上回ります。防府市には山口県立総合医療センターをはじめ病院が複数存在するため、「医師そのものが少ない地域」というよりも、病院に対して一般診療所が少ない地域と見ることができます。
そのため、新規開業においては一定の参入余地が考えられます。ただし、単純に診療所数だけを見て判断するのではなく、既存病院との役割分担を意識することが重要です。急性期・専門治療を病院が担い、クリニックでは日常的な外来診療や慢性疾患管理、退院後フォロー、在宅医療を担うなど、病診連携を前提としたポジションを確立することで安定した患者基盤を築きやすくなるでしょう。
人口10万人あたりの施設数を診療科目別にまとめました。
| 内科系診療所 | 34.22 |
|---|---|
| 外科系診療所 | 15.79 |
| 小児科系診療所 | 10.53 |
| 皮膚科系診療所 | 4.39 |
| 眼科系診療所 | 3.51 |
| 耳鼻咽喉科系診療所 | 4.39 |
| 精神科系診療所 | 1.75 |
| 産婦人科系診療所 | 2.63 |
防府市では、内科系診療所が人口10万人あたり34.22か所と最も多いものの、山口県全体と比較すると少ない水準です。外科系や小児科系、皮膚科系、眼科系についても県全体を下回っており、多くの診療領域でクリニックが過密になっている状況ではありません。
中でも特徴的なのが精神科系診療所で、人口10万人あたり1.75か所にとどまります。県全体と比較しても少なく、心療内科を含めたメンタルヘルス領域では、診療圏によって受診先の選択肢が限られている可能性があります。
また、皮膚科系は4.39か所、眼科系は3.51か所と比較的少ない一方、耳鼻咽喉科系は4.39か所で県全体に近い水準です。診療科目ごとの施設数だけでなく、既存院の所在地や診療時間、専門領域まで確認し、実際の診療圏で不足している医療機能を見極めることが重要になります。
防府市は一般診療所数が県平均より少なく、新規開業を検討する余地がある地域です。しかし、将来的には人口そのものが減少していくため、競合が少ないという理由だけで開業地を決めるのは適切ではありません。
重要なのは、後期高齢者の増加や病院が比較的充実している地域特性を踏まえ、病院では対応しにくい日常診療や退院後フォロー、在宅医療などを担える体制をつくることです。
また、防府市では自家用車で通院する患者も想定し、幹線道路からの視認性や駐車場の確保、車から院内まで移動しやすい動線なども確認しておきたいポイントです。診療圏調査によって競合状況と患者数を把握したうえで、診療内容・立地・通院利便性を組み合わせた開業計画を立てることが、長期的な経営安定につながります。
狙う領域が決まったら、その診療科目で必要になる動線設計(待合/処置/動線分離)や設備、集患(紹介連携・Web導線)まで理解している支援会社に相談すると計画がブレにくくなります。
当メディアでは、診療科目ごとに山口県でおすすめのクリニック開業支援会社を掲載中。診療科目が違えば成功の「最適解」も異なるため、企業選びの参考情報としてご活用ください。

ライジングホールディングスの支援を受け、防府市で開業した内科・循環器内科のクリニックです。
開業にあたっては診療圏調査を行ったうえで立地を選定。さらに、開業資金や各種申請、労務などについても支援会社と連携して準備を進めています。初めての独立開業では、診療そのものだけでなく資金計画やスタッフ採用、行政手続きなど幅広い対応が必要になるため、専門会社の支援を活用して開業準備の負担を軽減した事例といえるでしょう。
現在は内科・循環器内科として、生活習慣病や循環器疾患をはじめ幅広い内科診療に対応しています。防府市において、専門性を持ちながら地域のかかりつけ医として診療する開業モデルの一例です。
